しかし、そんなことはリンも理解していた。

腕がいいから…そんな実績に裏付けられた事実でさえも次の戦闘で生きて帰ってくることの保証にはなりえない。

「ちゃんと帰ってきてね。」

リンは両腕を舩坂の胴に回し体を預けた。

「ああ。」

舩坂はリンの頭を撫でていた手を止め、

「今度の戦闘が一段落したら…。

二人でどっかに引っ越すか。

戦場なんて関係無いとこに…。」

そう言ってリンを抱きしめた。



「ねぇ、ケート」

室内にふわりと響くのは聞く人によっては甘ったるいリンの声。

「ん?」

舩坂はリンを抱きしめる腕を緩める。

「そのセリフ。

一年前も聞いた。」

少しむくれたような声、リンがあと10も幼かったら確実に頬を膨らませていただろう。

舩坂は再びリンを抱く腕に軽く力を込めた。


「だから一年前も帰って来れただろう?」