「その沈黙は何らかの情報は持っている…と思っていいんだな。」

白井は霧野からゆっくりと視線を外すと真上に煙を吐き出し、靄のかかったような天井を見上げる。

「正直なところ、彼女が何者だろうがあまり関係はない。

ただ…戦闘中に背中を預けるかもしれない相手に違和感を感じたまま…。

というのは好ましくない。」

白井の視線は未だ中空をさまよっている。

「向こうの軍で戦力が集まっている現状なら…なおさら…な。」

霧野は漂う煙を払うかのように長めに息を吐き出すと静かに口を開き始めた。

「あまり…。

気持ちの良い話ではないのだけれどね…。」