「舩坂がそんな愁傷なこと考えてるはずはないだろうな。

おおよそ…真面目な顔して、今度のパイロット可愛い子だといいな。とか、そのぐらいのことしか考えてないだろう。」

再び資料に目を落とす白井、佐良は呆れた顔で舩坂を見ると舩坂が表情をそのままに、

「…バレたか。」

と言っているのが聞こえたような気がした。

その時、不意に佐良の後方から聞きなれない声が響いた。

「もしも~し。皆さんはAMのパイロットの方々ですか?」

少し間延びしたようなトロンとした幼い女の子という声、声の幼さだけで言えば、オペレーターの西嶋よりも幼いだろう。

「はいはい。ここにいるのはAMのパイロットの方々ですよ。」

幼い声にいち早く反応した舩坂はくるりと振り返ると、笑顔のまま寄ってくる。

「はじめまして、今日から配属になりました。

時生 弥羽(ときお みう)です。ミクロンで、機体はそこにある隼。年はピッチピチの18歳です。」

弥羽は一通り自己紹介すると「よろしくお願いしま~す。」と頭を下げた。