「舩坂、どうかしたのかな?」

佐良は隣で未だ隼の資料から目を離さない白井に声をかけた。
何故かほんのりと哀愁漂っている舩坂に直接声をかけるのは躊躇われたのだろう。

「ん…。ああ、気にすることはない。いつものことだ。」

「いつものこと?」白井は資料から目を上げると横目で舩坂を見る。

「舩坂は新人のパイロットが入る前は、いつもあんな感じなんだよ。

多分、前のやつのことでも考えてるんじゃないのか…と思うんだがな。」

「前のやつって…僕の入ってくる前にいた人のこと?」

「まあ、そんなところだな。

前に言った大きめな戦闘の後、5人…5人のパイロットが入ってきては死んでいった。

多分、そいつらのことでも考えてるんだろう。」

至極真面目な顔でそう言うと、白井は船坂から視線を外し、小さくため息を吐いた。

「と、思わせたいんだろうな。」

続けられた白井の言葉に佐良の口からは、「は?」と理解不能を表す感嘆詞が飛び出していた。