時刻は17時過ぎ、西日が強烈に差し込む寮舎のリビングでは二人のパイロットが新入りの到着を待っていた。

一人は頭一つ分佐良より身長が高く、茶髪のオールバックにダウンジャケットといういでたち。

もう一人は病的なまでに白い肌に長めに整えられた白い髪、少し細目の体には黒いジャケットを纏っていた。

二人が立ち上らせる紫煙がゆっくりと室内に漂い始めた時、二人の待ち人の訪れを報せるように古びたドアがやや大きめな悲鳴をあげた。

「おう。

来たか佐良。」

オールバックの男が片手を上げ、佐良を招いた。

ライダースジャケット姿の佐良は招きに応じ、ドアを静かに閉めると二人に歩み寄った。

佐良が近くまで来ると、再び口を開いた。

「まぁ、なんとなく分かると思うけど俺が舩坂、舩坂 慧人(ふなさか けいと)。で、」

「白井 智也(しらい ともや)だ。」

舩坂の言葉を継ぐように白髪の男が名乗った。

それぞれの言葉に二人の顔を見つめた後、佐良は

「佐良 秀司です。よろしくお願いします。」

と軽く頭を下げた。