コツコツとややアップテンポの足音が響く廊下、霧野は専用の更衣室に向かい早足で歩を進めていた。
やがて見えてきたドアを霧野は乱暴に開ける。
そこにあるのは四畳程のスペースに古ぼけた安物のロッカーだけ。
霧野は手早く上着、シャツ、スカート、靴下を脱いでいく。
下着姿の霧野はロッカーから一着のパイロットスーツを取り出す。
それは霧野専用に採寸して作られた特注品。
漆黒のパイロットスーツは儚げな霧野の肌を白くきわだだせていた。
「また、始まる。」
開かれたロッカーの内側には一枚の写真。
霧野と数人のパイロットらしき人物が写っている。
日に焼けたその写真は撮影されてから少なくとも数年以上の時の流れを感じさせる。
写真の中で霧野は笑っていた。
「みんな、行ってくるね。」
一度写真に触れ、目を数秒閉じた後、霧野はロッカーを閉じた。

