弥羽が視覚として認識される現状は自分が地面に向かい直角に飛び、地面には10機を数えるAMがこちらに向かい銃口やナイフ、パイルバンカーを向けている。

その傍らにはバラックのAMが見える。敵機に一番近いのは舩坂機と霧野機、やや北の少し離れた地点に佐良機がガトリングを構えていて、舩坂機らの後方では白井機が砲撃態勢を解きつつあった。

タイミングがいいのか悪いのか白井が最後に放ったであろう砲弾が敵機の集団に向かい接近している。

そのまま隼が降下していけば運が悪ければこちらに当たる可能性も零ではないだろう。

しかし隼は降下を続けている。

弥羽は敵機の銃口から放たれる弾丸を認識して、隼はその全てを回避するように動く。

ただ、弥羽が隼を操縦しているわけではない。

弥羽は眺めているだけだ。自分が弾丸の雨の中をスルスルと流れるように潜り抜けていくのを眺めているだけだった。