由優を強く抱きしめて、雨で濡れている髪の毛に指を絡めた。


「その笑顔…昔から変わらないな…。俺の大好きな…初恋の笑顔。」


「えっ…?」


パチパチと瞬きをしながら、由優は顔を上げた。


やっぱり覚えてるわけないか…。


ハテナマークを浮かべている由優に微笑んだ。


「6歳の春…、俺の指のケガに気付いて、由優が手当てしてくれたんだ…。あの日の“もう大丈夫だよ”って言ってくれた時の由優の笑顔に俺は惹かれたんだ。」


確か……帰り道の途中、道に座っている女の子が目に飛び込んできて…


どうしたのかと思って声を掛けた、その子が由優だったんだよな…。