「空守君、もう大丈夫です…。あの…この辺も人が増えてきましたから、離して欲しい…です。」
由優が慌てはじめたので、周りを見ると、確かに境内の入り口付近も人が増えてきていた。
俺としては、このまま抱き締めていても何ら問題はないが…
由優が恥ずかしそうにしてるから、止めておいたほうが良さそうだ。
ただでさえ、距離を感じているのに、これ以上は離れたくねぇからな…。
由優から体を離した俺は、ウーロン茶を手渡した後、再び小さな手を包みこむように握った。
「包海、こっち。」
そう言って、静かな境内の奥の方へと歩いた。


