16歳、前進

「卵?」

そう問うと彼は黙ったまま首を横に振った。

じゃあなんだろう、そう思って首を傾げても有君は答えてくれない。

 

しばらくして、そっと顔がこちらを向いた。

「何か用があって来たのか?」
 
それは少し怪訝な声。

でもそれが別に怒っているわけではないことを私は知っている。


「あ、うん……あのね、これ良かったら」
 
すっかり頭の中から抜け落ちるところだった。

バックの中からひとつ包みを取り出して、有君に差し出す。


「……僕に?」

「うん、あんまり自信はないんだけど……その、ありがとうって」
 

どきどきしながら出した手の上から、小さな包みは消えていった。

それが彼の手の中に収まり妙にほっとしてしまう。