「あ……あとでお兄ちゃんの分持って行くから!」
 
それは何か考えた結果の声ではなくて、自分でもその大きさにびっくりした。

お兄ちゃんの分も作っていたのは事実だけれど、あとで食事と一緒に部屋の前に置こうと思っていただけで。
 

去り際に声なく上げられた手を見て、お兄ちゃんの分もラッピングしてちゃんと渡そう、そう心に決め直した。