「だけど、今度、また作ってくるから」

彼まであと一メートル。風が間をすり抜けてゆく。

 

それでも彼も、私と一緒だった。
 
それに共感した? それだけじゃない。

 

私はあの日、生きる意味を見つけたのだから――



「弥八子」

「え?」

 
出かけた声が、風に消される。
 
その代わりに六佳君が笑った。



「大丈夫、俺も、好きだ」



End.