16歳、前進

「どうせお前のことだから最後に回してるだろ。なのに永井なんかにやったら足りなくなるだろうが」
 
本当はひとつ余計に持っていたのだけれど。
 
皐次郎君は人数分しか持ってきていなかったと予想して、彼に渡すのは最後だと思っている。
 

半分当たっていて、なんだか恥ずかしい。


「だ、大丈夫」

「何が大丈夫だよ。永井なんか気にするな。オレのわけるから」
 
額に浮かぶ汗が、なんだか綺麗だった。
 

そして思い出す、ひたむきに前だけ見て走っていた皐次郎君の姿を。

 

そうだ。
 
スタートしたら、つまづいたって、ハードルを倒したって。
 
ゴールに向かって走るしかないんだ。



「大丈夫、本当に」
 
なんでだろう、すうっと気持ちが落ち着いてゆく。


「なくても、ちゃんと伝えられるから」