16歳、前進

でも出来れば今日渡したい。

だから永井君を見て、彼なら頼んでも大丈夫かなと考えてみる。


「あの……変わりにお願いしてもいいですか?」
 
おそるおそる切り出してみると、彼は嫌がる素振りも見せずに「何?」と首を傾ける。


「これ、あとで皐次郎君に渡して下さい……ありがとう、って。あと……」
 
バックの中から包みを取り出して、はたと気付く。
 

多めに持ってきたと言ってもそこまで考えていなかった。

ここで二個渡してしまうとなくなってしまう。
 

だけどここまで言っておいて渡すのをやめるわけにはいかない。

かといって頼むだけ頼んで、永井君に渡せないというのも申し訳ない気がする。

 

一瞬、迷ってしまった。でも永井君の「何を?」の問いに手が動く。

「永井君も一緒に良かったら食べて下さい。美味しくないかもしれないけど」
 

もう仕方がない。私の口は一気に声を出した。
 
バックの中にお菓子はなくなってしまったけれど、また作ってくればいいんだ。