16歳、前進

「みんな分、作ったから。ありがとうって思って」

私がそう言うと、巴ちゃんの瞳が一瞬見開かれる。
 
でもすぐにまた笑顔に戻って「ううん、あたしこそありがとう」と言ってくれた。


「じゃあ、グラウンドに行くから」
 
私も笑った、そして手を振ってふたりが今来た階段を下る。

背中から聞こえた声は、明るく楽しそうな笑い声に包まれていた。

 

秋晴れの夕方はちょっと涼しくなってきた。

グラウンドにはそれぞれの部活動の生徒たちがたくさんいて、みんなそれぞれに走り回っている。
 
野球部のバットの音が高い空によく響いていた。

 

陸上部は確かもうひとつのグラウンドで練習していた筈。
 
ちらほらと帰る姿も見る中、逆の方向にひとり歩いて行くと集団で走っている姿が見えた。

そしてその片隅にハードルを越えている皐次郎君の姿を見つける。