16歳、前進

高梨先輩は最初「大丈夫、いいよ」と微笑んでくれたけど私が引かないことを知ったのか「ありがとう」と受け取ってくれた。

「今度何かお礼しなきゃね」と言ってくれたけど、それには「趣味で作っただけなので気にしないで下さい」と返しておく。
 

数はちょっと余計に持ってきていたし、大丈夫。

それに本当にたいしたものじゃないから、こんなのでお礼をされても気が引けてしまう。
 

それでも高梨先輩は根っからの優しい人なのかもしれない。

柔らかく微笑んでもう一度「ありがとう」と言ってくれた。



「で、次は六佳? いやもう六佳には渡した?」

「ちっ、ちがっ……次は皐次郎君のところに行こうかと思って」
 

再び巴ちゃんは楽しそうに笑いながらその名前を出してくる。
 
絶対からかってる、そうは思うものの上手く対応できなくてしどろもどろになってしまう私がいる。


「えー、皐次郎? あんなのいいって。あまりもんあげても喜ぶから、あいつ」

「第一今部活だよー」と続ける巴ちゃんの姿に高梨先輩が可笑しそうに笑い出す。

その直後ちょっと照れるように笑った巴ちゃんを見て、ここも長居しちゃいけないなと悟った。