16歳、前進

「で、ちょうど良かったってなーに? 六佳ならどこ行ったか知らないけど」

「ええっ……違うよ、それが聞きたいんじゃなくって」

「あれ、違うの?」
 

またしても唐突に出てきた名前に顔に血が昇る。
 
どうして巴ちゃんまで……と思っていると彼女は笑いながら何か高梨先輩に説明していた。

何を言ったのか彼も微笑みながら頷いている。



「あのね……これ、作ったからあげようと思って」

「へ? え、何お菓子?」

「うん。初めてだから自信はないんだけど……」
 

早くこのよくわからない空気をなんとかしようとバックから包みを取り出した。

すぐに受け取ってくれた彼女は「すごーい! ありがとうみーや!」と笑顔いっぱいに喜んでくれる。



「へえ、お菓子なんて作れるんだ。すごいね」
 

横で見ていた高梨先輩の言葉を聞いて、私は急いでもうひとつバックから取り出した。

「あの……良ければどうぞ」
 
例え知らないひとでもなんだか巴ちゃんだけにあげるのは申し訳ない気がして。