夏が終わって、秋。
高校に入学して初めての文化祭、その準備に勤しむ自分の世界は少しだけ色を変えていた。
全ては変わらない、でも。
「うん、これで大丈夫……な筈」
オーブンの前で出来上がりを緊張しながら待っている自分は、前より好き。
甘い香りに包まれるキッチンには私ひとり。
お母さんは出かけていたし、お兄ちゃんは部屋にいる。
お父さんは相変わらず仕事が忙しいみたいだけれど、三日に一度は顔を見れるようになった。
完成のカウントダウンをどきどきしながら見つめて、聞こえた電子音に息を飲む。
オレンジのキッチンミトンに入れた手でゆっくり中の天板を取り出した。
顔を襲う嬉しい香り、甘い熱。
写真みたいな完璧な見た目はしてないけれど、それでも自分で作ったせいかどれもが愛おしく見えてしまう。
初めて作った、チョコレートカップケーキ。
高校に入学して初めての文化祭、その準備に勤しむ自分の世界は少しだけ色を変えていた。
全ては変わらない、でも。
「うん、これで大丈夫……な筈」
オーブンの前で出来上がりを緊張しながら待っている自分は、前より好き。
甘い香りに包まれるキッチンには私ひとり。
お母さんは出かけていたし、お兄ちゃんは部屋にいる。
お父さんは相変わらず仕事が忙しいみたいだけれど、三日に一度は顔を見れるようになった。
完成のカウントダウンをどきどきしながら見つめて、聞こえた電子音に息を飲む。
オレンジのキッチンミトンに入れた手でゆっくり中の天板を取り出した。
顔を襲う嬉しい香り、甘い熱。
写真みたいな完璧な見た目はしてないけれど、それでも自分で作ったせいかどれもが愛おしく見えてしまう。
初めて作った、チョコレートカップケーキ。