「さようなら。シェル…私の妹…」

呟いた言葉は、吹いた風に飛ばされそうな程、小さかった。


何も感じない。
何も思わない。

私は、そう生きてきた。

1人、で。

そういう、宿命の下に生まれたのだ。



黒く焦げたシェルを見つめ、記憶をなくしていた頃の無邪気な自分を、心の奥に追いやった。


「─さようなら…」



誰に言うでもなく、そう言葉をのせ、用はなくなった、とばかりに去ることにした。