「お母さん、どうしたらビー玉取れる?」

「んー…わかんないや」

洗濯かごを持った母には目もくれず、ひっくり返しては口から指を入れてつついてみる。振ってみる。

変わらず、音がなるだけ。

物干し竿と母が庭の隅に見えるけれど、少女はいつものように駆け寄らない。

「もうっ」

いっそのこと割れてしまえと瓶を叩きつけた。

パリンッ。

母が肩を上げる。
少女も肩を上げた。

本当に割れるなんて。

怒りにまかせて、たまたま割れたんだと、また心の中でうそぶく。

割るのは負けてしまったようで悔しいから、そういうことにしておきたいのだ。