その瞬間――。 琉唯を睨んでいた先輩の後ろにいた別の先輩が、あたしに向かってボールを思いっきり投げつけた。 「――あっ!」 咄嗟に顔を背け、目を閉じた。 パシッ――。 …あれ? 音はしたのに、当たった衝撃はない。 ゆっくり目を開けると、見えたのは後ろ姿。 「…琉唯…?」 琉唯の背中。 いつの間にか…琉唯があたしの目の前にいて、投げられたボールは、しっかり琉唯に受けられていた。