「あっれー?中田、何してんの?」
突然、屋上の入り口のほうから声がして、見ると赤川くんがあたしを指差している。
「ちっ」
その場にいた先輩たちが舌打ちをして、さっさと去っていった。
それを見送ると、赤川くんはあたしに近寄ってきた。
「うわー。なんかわかんないけど、怖い先輩。
…知り合い?」
あたしは、首を横にふった。
「だよね。
華ちん見なかった?」
「えっ、教室…じゃないかな」
「そっか。」
赤川くんは、また入り口のほうへと歩き出した。
「ぁ…赤川くんっ」
あたしの言葉に、振り返る。
「…ありがと」
赤川くんが不思議そうな顔をした後、少し微笑んでからひらりと手を振った。