消え行く花のように



動きを止めた俺の表情に気付いたミカエルが瞬時に動いた。

(しまった!!)

ミカエルの意図に気が付いたときには、もう遅く

「きゃ……っ?」

目にも止まらぬ速さで背後にまわったミカエルに、後ろから羽交い絞めにされたリエルの悲鳴が、静かな公園に響く。

「よせ!!」

思わず出た叫び声を聞くと、ミカエルは愉快そうな表情を浮かべた。

「何? この子、知り合い?」

「関係ない、ただの人間の子供だ。離してやれ」

「ふうん……その慌てよう、ただの無関係者じゃないのね」

「いいから、今すぐ離せ」

きつく睨みながら、激情にかられそうになるのをなんとか抑えながら声を絞り出す。

ミカエルは、ますます面白いといった顔をして、剣先をリエルの喉元へ突きつけた。

「ふふ……面白い、生まれついての暗殺者でもそんな顔をするの? たかが人間の為に?」

そう言いながら、ミカエルはクスクスと笑う。