「まさか」
ミカエルは一度目を閉じ、再びその目を見開いて俺の瞳を覗き込むと、信じられないといった表情を浮かべた。
「赤い瞳……噂にしか聞いたことなかったけど、本当にいたのね」
俺はただ、黙って頷く。
「古の血を持つ者……ヴァンパイア」
確かめるようにその名を口にして、ミカエルは自らも頷くと
「ふ…ふふ……」
不意に小さく笑い声を漏らした。
「確かに、人間じゃないわね。なるほど、あたしの攻撃がかわされるわけだ」
うつむき、自分に言い聞かせるようにつぶやくと、再び笑みを浮かべて俺を見上げ
「ますます、狩りたくなってきたわ」
挑発的な言葉と共に、掴まれていた剣先を大きく空へ跳ね上げ、俺の手から逃れると、少し後方へ飛び、構えを新たにした。
「本気で、いくわ」
舞い散る白い雪の中、夜の闇を背に、そのか細い体から立ち昇る……
炎のような、闘気――

