消え行く花のように



深い眠りから目覚めると、再び覚える喉の渇き。

(まだ、生気が必要だ)

街灯が消える頃を見計らって外へ出る。

この時間帯になると、通りの人影は少なくなるが、こんな時勢でも栄えるところはあるもので、路地裏の目立たない場所で、一部の富裕層の人間や裏世界の人間達が集まり、にぎわう店は一軒や二件ではない。

本来なら、国の情勢を考えれば規制されてもおかしくはないのだが、それらは暗黙の了解の下放置されている。

いつの時代もそんなものだ。

「本当に素敵な黒髪……それに綺麗な青い瞳ねえ……」

身なりのいい貴婦人も、夜は昼間とは別の顔を持つ。

酒を片手に、娼婦とまったく変わらぬ媚びた笑顔で、うっとりとした表情を浮かべて俺の容姿に賛辞の言葉を並べる。

「ありがとうございます。マダム」

最高級の笑みを浮かべ、その手をとり口付けると……女は満足げな表情でその身を俺の肩にしなだれかからせる。

わずかな悦楽と交換に、気付かれぬよう生気を奪う――

気の遠くなるほどの年月、繰り返した行為。