リエルが来てからは一人で出歩くこともなくなった。
リエルの存在は何故か俺の心を満たし、空腹ですら忘れてしまうほどに……
それほどに、いつしかこの小さく儚い命と過ごす時間に心奪われるようになっていた。
(だが、所詮俺は人では、ない)
この喉の渇きが、それを思い知らせる。
『欲しい……』
頭の中で、からだの奥底に眠る本能が訴える――
『欲しい』
だめだ
『今すぐ……血を……』
だめだ、まだ
『すぐそばに、いるだろう?』
だめだ…リエルは……
『たかが、人間じゃないか。今までのように……簡単だろう?』
嫌だ……
『何をためらう? 殺したところで、惜しければ仲間にすればいい』
違う……そうじゃない
違うんだ
俺が望むのはそうでは――

