消え行く花のように




「ははっ……! 本当におかしなやつだ! 天使が人を殺すか?」

こみ上げた笑いをこらえきれず吹き出した俺を、きょとんとした表情でリエルが見つめる。

「ジュード?」

「ははは……そんな天使がいるかよ……くっ……くくく……」

しばらく笑い続けて、それがおさまると、俺はぐい、と顔を寄せてリエルの瞳を覗き込んだ。

「どちらかといえば悪魔と思うんじゃないのか?」

じっと目を合わせたまま問う。

「違うの?」

「まあ、な。天使様ではないだろうな」

「そう……」

リエルは小さくつぶやき一瞬目を伏せたが、すぐに思い直したように視線を上げて、俺の目を見つめ返した。