消え行く花のように

(―5―)


なんとか閉店に間に合った食料品店で目に付くものを買い、部屋へ戻りランプをつけてやると、リエルは真っ先に植木鉢をテーブルの真ん中に飾った。

「ジュードの部屋、何にもないんだもの。お花があると、少しは寂しくないね」

無邪気に笑う――

そう、こんな顔を見るのは悪くない。

「では、花も飾ったところでディナーといたしますか、お嬢さん」

すこしおどけて見せながら、俺がテーブルにパンやチーズ、フルーツを並べるのを目を輝かせて見つめる姿は、年相応の子供らしさに溢れている。

最初に出会ったときの、無気力で、年に似合わず全てを諦めたような目をした子供はもういない……

「どうぞ、召し上がれ」

「いただきます」

嬉しそうにパンをかじる姿を眺めながら、買ってきた果実酒の瓶のコルクを抜き、赤紫色の液体を瓶から直接喉に流し込む。