消え行く花のように




「ありがとうございました~ 」


丁寧にドアの前で深々と頭を下げて見送る店員を背に、雪のちらつく外へでる。

(少し遅くなったか?)

長引く戦争と内乱で財政が圧迫されているためか、国の拠点ともいえるこの街でも、随分前から街灯は早い時間に消されるようになった。

すっかり暗く静まり返った大通りを、リエルの手を引き急ぎ足で歩く。

「ジュード、こんなに暗いのに歩くの速いんだね」

手を引かれ、時々つまずきそうになりながらも、ガーフィールドにもらった花を落とさないよう小脇にしっかり抱えてついてきていたリエルが、不思議そうに声を上げた。

「俺は夜目が利くからな……いそがないと晩飯食いはぐれるぞ?」

振り返りそう言うと、リエルはハッとした表情を見せ

「じゃあ、がんばる」

決心したように答えて歩調を速める。

「はは! 腹が減ってるか! もう少しがんばれ」

懸命に歩くリエルの顔が可笑しくて、思わず笑ってしまう……