消え行く花のように




久しぶりに夢を見た。懐かしい夢……

懐に感じるぬくもりが見せたのだろうか?

「リエル」

胸元に顔をうずめ、身体を丸めて眠る少女に声をかける。何度か肩を揺すると、うっすらと目を開け俺の顔を見上げた。

「腹がへっただろう? 買い物に行くが、何がいいかよくわからん。ついて来い」

リエルはコクリと頷くとゆっくりと身体を起こし、ベッドから降り立ち、古い布の靴に足を通す。

「着る物もいるな」

コートを羽織り支度をする俺を待っている、着古して、裾がほつれたワンピース一枚のリエルの格好を見て、思い立ちつぶやくと、リエルは大きなガラス玉のような瞳を更に大きく見開いた。

「買って、くれるの?」

「着替えがいるだろう?そんな服一枚じゃ寒いだろうし」

「でも、お金……」

「気にするな、昨日の仕事の報酬が入る。それに拾ったペットの世話は主人の仕事だ」

ペットという言葉を口にして

(そうか)

と思った。

なるほど、これは人間が犬や猫を拾ったようなものだ。俺にとっては人間も動物もさほど変わりはない……

そう思うと、自分がリエルを何故連れ帰ったか説明がついたような気がして、少しもやもやが晴れた気がした。