「無駄遣いするなよ」


「わかってますよ」


千円札を財布の中に大事にしまった。



高校生じゃなくなってから、お金をあまり使わなくなった。


高校生だったときは、友達とカラオケ行ったり、買い物してたからだね。



「ほら、行くぞ」



あたしの手を引っ張って、さっさと歩いていく笹河。


あたしは、財布をポケットの中に入れて笹河の腕にしがみついた。



「何だ?」



「今度は、もうちょっと増やしてくださいねっ」



甘えてみたけど、笹河は微笑んで、あたしの頭に手を置いた。



「そんなに金が欲しいなら、俺の身の回りの世話しろ」



「それは…」



嫌です。なんて、言えるはずないじゃん。

黙り込むあたしの額にキスをして、また微笑んだ。



「もうちょっと待っててくれよな」