「なんや、注文をせんでも分かるんかいな?」
「和さんはホットの珈琲。二人は紅茶だろう?」
 私がそう答えると、恵と葵の緊張が解けたのか、嬉しそうな顔に成る。
「約束だったからね。最高の紅茶をご馳走するよ」
 カチャカチャと食器が立てる音に三人共聞き入る。本当に一週間前の事件が嘘だと思える程に葵の顔色は良く成っている。だが、完全に復活をしたと云う訳では無い。小夜子の事が気に成っている筈だ。あの日を境に葵と小夜子は電話での連絡以外での接点を互いに持っていないと関が云っていた。葵の容態が完全に回復したのは今日の昼位との事で、関の判断の元、退院と云う意味では無いが、今日迄外出許可を出さなかったらしい。その間、葵と小夜子の二人の連絡方法は、時折電話で遣り取りをしていた位だとの事で、葵の本心からすれば早く小夜子に会いたいと思う。
 私は特性のベーコンサンドウィッチとホットの珈琲と紅茶をカウンターに出すと、三人が感嘆符を漏らし乍視線を向けて来る。
「私からの退院祝いだよ。遠慮無く食べてくれ」
「そらええな。遠慮無く頂くわ」
 関が食べ始めたのを切欠に場の空気は完全に明るく成る。もう頃合だろう。私は店舗の電話で相手を呼び出す為に着信をして電話を切っていると、関が如何したと聞いて来る。