「時雨が持っとる情報に毛が生えた程度の内容しか持ってないわ。今夜の表立ったターゲットの過去と簡単な背景や。逆に云えば、それ以上の内容は探り当てる事が出来んかったし、探らん方が正解やったとも思うわ」
「そんなに危険なのかい?」
「ワシの直感やけど、恐らく政界関係の人間が関っとると思うわ。そう成るとワシの手に負える範囲を超えとるからな。政治に関っとる連中にまともな奴等は殆ど居てない。金と権力に魅せられた魑魅魍魎の集まりや」
「それは、そうだろうが」
「それにや、下手に突いて危険に成る位なら、相手側にもワシ等の力の底を見せん方がええからな。当初の予定通り膠着状態に出来たと思うし、何よりも、娘さんの命を救う事が出来た。これが一番の収穫や」
 関がビールを煽り乍満足気な顔で恵みに視線を向けると、恵みは改めて関の顔を見て話し出す。
「本当に、色々と有難うございます」
「気にする事はあらへん。元々ワシが請け負ってた仕事に関係しとっただけやからな。それに時雨の知り合いって事やし、時雨の友達はワシの友達でもある訳や。困った時はお互い様。ワシはそう云う様にして生きて来とるからな」
 関の返答に恵みが涙を流し乍頷く中、関は立ち上がり葵の元に跪く。