「真実を云うてるだけやないか」
 関が冷笑を浮かべ見下した物云いをする。こんな関を見るのは始めてだ。
「随分と派手に稼ぎ回ってる見たいでんな」
「知らん!俺は何も知らんぞ……」
「知らんと云うのは、知っていると云うてるのと変わり無いんですわ。特に断定する方がもっとも怪しく成りますで。本当に知らんなら、そんな簡単に即答は出来まへん」
「……」
「子飼いの犬が帰らんから随分と心配したんとちゃいますか?」
 関が揺さぶりを掛けると、山本は完全に黙り込んで仕舞った。波の音だけが寂しく響く中、山本の呼吸は徐々に激しく成る。
「自分の弱点を握っとる人間が手元に帰らん。不安でしょうな。しかし山本はん、アンタは少しばかりやり過ぎですわ。実の兄をフロントに立てて、自分は被害が及ばん範囲で姑息に稼ぐ。そんな道義が通る程に世の中は甘くありまへんで」