視界の隅々迄広がる倉庫の数々を見ている印象としては、出鱈目に広いと云うのが率直な気持だ。潮の匂いが辺りに漂い、貨物船迄見えると成ると、貸し倉庫がメインの様だ。遠くから波の音が耳に届く。
「さてと、この辺りで大丈夫やろう」
 関は一人で呟き、倉庫と倉庫の間に車を突っ込み壁際に停車すると、背後から富田の車が近付き止まる。私は男の襟首を掴み引き摺り下ろし蹴り倒す。背後では関は車のエンジンを切り、一足遅れで降り私達を遠くから見守る。
「な……何をする気だ!」
 山本は最後の抵抗とばかりに強気な態度に出る。だが足元が震え上がり無理して強がっているのは一目瞭然だ。
「さっきの取引の続きやったよな」
 関が淡い期待を持てる言葉を吐くと、山本は待ち焦がれたとばかりに意気揚々と顔に生への執着心を浮かばせる。富田が車から降りて来る気配は無い。顛末を見守る積りなのか、フォグランプだけを点けてダンマリを決め込んでいる。
「さてと、始めまひょうか……」
「言値を云ってくれ」