「取り合えずワシ等と来て貰いますわ」
 関が惚けた口調で運転し乍背後の男に声を掛ける。私は男が無駄な抵抗をする事が無い様に、冷たい視線で男の心を抑え付けて居ると、グッと車に掛かる重圧が増した。
「どうした?」
「後ろに不信な車が付いて来とるんや」
 私がチラリと視線を背後に向けると、微かにヘッドライトが見える。
「どうする?」
「ワシ等を狙っとるか試してみるわ。この辺りは車が徐々に減るし、レースでもやるか」
 ストレートの道。徐々に視界が狭まる。公道でのレースだが、関が云った通り車が徐々に減り街からは離れているが、目的地迄付いて来られると厄介だ。私は男の喉を締め上げ、砕けた窓から銃口を空に向けて一発撃つ。
「この方が手っ取り早いよ」
 私が事も無く弾丸を撃ち出すと、関の呆れた様な顔がミラーで見て取れる。
「まあ、別に構わんけどな……」
「さっさと蹴りを付けよう」
「せやな」
 私が軽く促していると関の携帯が着信音を響かせる。
「誰や?」
 関がディスプレイを見て私に携帯を放って寄越す。私は関が投げて寄越した携帯を手に持ちディスプレイを見ると、富田の名前が映っている。このタイミングで着信と云う事は、後ろの車は富田かも知れない。私は通話ボタンを押すと、予想通りの声が聞こえて来た。
「随分とご機嫌だな」
「挨拶がそれですか?」
「無茶するじゃねえか。行き成り発砲はねえだろう」
 富田が含み笑いを上げる。私が視線を後ろに向けると、車が徐々に間を詰めて来る。私は携帯電話の通話口を塞ぎ、関に視線を向けて話し掛ける。