「その辺りは大丈夫だ。いい加減な風に見えても、それなりに下地を打ったりはしているさ」
「流石に詳しいやないか」
「嬉しくは無いがね」
 片桐の一言で関の緊張が解れて行く。
「それやったら、ワシ等もボチボチと車で尾行する準備やろか。その間、この二人の安全は悠也に任したで」
 関は短く片桐に伝えて立ち上がるのを切欠に、各々が準備を始め出した。

「今夜から宜しく頼む」
 銀髪の男は憔悴した顔で、金で雇ったガードマン三人に挨拶をすると、男達は無言で頷き立ち去る。今夜八時からのガードを頼んでいる。
 一人は運転手。残りの二人は弾除けだ。最悪命を狙われるかも知れない。その恐怖が男の心の中に暗雲として立ち込めるや悪性ウィルスの様に全身に広がり、男の内部を恐怖だけが支配する。疑心暗鬼でしか無いのは分かっている。だが、雇用した男達ですらも裏切られる可能性が有ると思うと、自分を消す人間を自分の金で雇用しているのと変わりが無い。それで殺されたら只の間抜けだ。