「いえ。色々と考えましたけど、最終的には自分次第だと思える様に成りました」
「それは良かったよ……」
「マスターが、私を救ってくれたんです」
「私が?」
「離婚して仕事を探したりで、落ちる所迄落ちたと思ってたんです……他の働いている人には悪いんですが、正直、好きか嫌いかで云うと私には向いてない仕事でした。ですが、将来の事を色々と考えて……今の仕事以外に無くて。勿論葵の事は心配していました。ですが、家族の絆が壊れるのが怖くて眼を反らしてたんです」
「イジメに気が付いていたと?」
「薄々とですが確信を持て無くて。いえ、持ちたく無かったのかも知れません。その上で、マスターからお話を聞いた時、愕然としました。擦れ違いの生活をしていましたが、親子ですから何と無くですが変化は分かります。その時、マスターがしてくれた苦言で確信を持てたんですが、こんな事に成って……」
 恵は俯き、気持を仕切り直した様に冷静に話し出す。