―この侭では死ぬ側に回る可能性が有る
 危機感から来るストレスが最高潮に成る直後に、命綱である監視役の男が消息を立った。現在男が保有して要る情報量は数少無い。富田と云う現職の刑事と関と呼ばれる男の存在だ。その裏で何が行なわれているのかは全くと云って良い程に分からない。まさか、自分が同業他社の人間に引き抜き要因として眼を付けられているとは夢にも思わない。それ程迄に男は巧みに兄の存在を矢面に立て、裏で操作をしていた自負が有るからだ。だが、情報は何処かで漏れてしまう物である。男の豪腕としか云えない遣り口と、大胆な動き方を欲しがる金の亡者は腐る程に存在し、欲しがる企業はそれ以上にあると云って良い。そんな中、男は無論そんな事等は露程も知ら無い。自分の知らない所で何かが動いている程に座りが悪い物は無い。
 ゲームマスターとして更に刺激を求めて動く積りが、気が付いたら自分が狙われる可能性のあるポジションに陥っている。真綿で首を締められる様に、緩やかな罠の存在に男は気が付か無かった。