毎月百万を配当するので名義を貸して欲しい。簡素な提示だが、兄の性格は身内で在る男が熟知している。その御蔭で、男は何ら回りの眼を気にする事無く立ち回る事が出来た。全ての命令と責任は兄が舵取りをしていると云う建前の元、自分は伝達する係りだと云うポジションを確立し、世間と社内の全ての眼を兄に向けて置く。
 全ては上手く行っていた。だが、その反動の為か男は毎日に退屈していた。金は有る。それもカナリな金額を分散して隠しているので、仮に摘発されたとしても高飛びをすれば良い。そこ迄の安全圏を確保した上で、魂を揺さぶられる程の熱が身体から抜けて行くのを感じていた。
 金を掴んだが、そこから先の展望が見えず魂が燃えない。第三者からすれば良い身分だが、男は人生に飽き出していた。そんな矢先、このゲームの参加を呼び掛けられた。初めの内は正直面食らったと云うのが本音にあった。だが、見学と云う形で参加をするや、その狂気の熱に当てられ、男は人間賭博にのめり込んで行く。