第十二章 収束
 高層ビルの二十階。最上階に在る事務所の窓際に男は立ち街を見下ろすが、苛立ちは最高潮に達している。男は銀髪の毛を軽く触り革で出来た椅子に座る。今回の件で、自分に累が及ぶ可能性が出て来た。それも、かなりの高確率だと予測出来る。
 監視役の男と連絡が取れ無く成った。元々ギャラを払う条件として、決められた時間に定時連絡を行なう取り決めだ。これ迄も非合法な方法で資金を集めたりする為に、顧客の趣味趣向から性癖迄を調べ上げ、接待と称して篭絡したりと金を増やす事を行い、監視役の男も成果を上げて来た。条件面で対立する事は無く、監視役の男は今迄確実に仕事を遂行し、その点は安心をしていたのだが、その安心が根底から覆る事態が男の身に降り掛かっている。 
 一晩待つが一切の連絡が無い。その前後に襲われたと云う旨を聞いている状況で安心等出来る訳が無い。
 表面的には専務と云うポジションだが、実権は男が握っていると云っても良い。無能な兄を代表に立て、実際の運営自体は自分で行なっている。