銀髪の男が事務的な口調で三人に声を掛ける。だが、三人は若干の逡巡をするが答え無い。どれだけの金が動いているのか以前に、どう云った意図でこの様な事をしているのかも知らない。分かっている事は、非合法な仕事だと云う事と、小遣いと云うには余りにも多い金銭の授与だけだ。銀髪の男はニヒルな笑みを浮かべて少年達を見下ろす。互いに同じアスファルトの上に立っているが、銀髪の男の身長は抜きん出ている。少年達が身長170cm前後に対し、銀髪の男は190cmを越えている。物腰と雰囲気からは、何かお堅い仕事と云うか、銀行や商社マンを思わせる雰囲気が漂っている。だが、身体の奥から滲み出て来る気配は、決してそんな生易しい物では無い。死線。眼で捉える事の出来無い、得体の知れない境界線を幾度も越えたのだろうか。三人の心には、漠然とでは有るがそんな思いが広がる。
「それじゃあ、俺達はこれで」
 三人が背後に向き直り立ち去る。銀髪の男は懐から煙草を取り出し一服点けると、空に向って煙を吐き出し三人に呼び掛ける。