それから光輝君と病院の中を歩き回った。

外に出て空気もすって…。


「うーん、気持ちいっ!」

私は伸びをした。



中庭のベンチに2人で座って色々な話をした。


「俺、バンドやってたんだ。」


「うん。知ってるよ。」

「え…?」


あ!やばっ…。

「あ、じゃなくて…バンドっていう単語の事かと…はは…。」


「?やっぱ変なやつ。」



あ…あぶなー。

私は今は普通の女の子なんだから。



「ね、光輝君はさ…。」

「な…なぁ、俺、まだお前に名前言ってないんだけど…。」


「へ?…あ、札!病室の札みたんだよ!!」


言われてなかったっけ?

とっさに思いつきでしゃべる。



それから光輝君には

「どっからきたんだよ?」


「家族は?」

「どこの高校なんだ?」



と、色々きかれたけど、すべて答えられなかった。

私、この病院の外に出たことないもん。


「よし。んじゃ、ちょい外出てみるか!」


何も答えられなかった私に気を使って、光輝君は散歩を提案してくれた。


「え…うん!!」

やったぁ。

人間になったから歩けるんだった。




「いくぞ。」


光輝君に腕を引っ張られて外に出た。


病院の外には大きな建物がいっぱいで人もたくさんいて、賑やかだった。



「すっ…すごい!」



それを見て私はまた大はしゃぎ。

そんな私に光輝君はつきあってくれた。