「――……っヒイィ!!!」
「こっ…小町?!」
「どうしたんだ、急に叫んで!」
気がつけば、発狂して叫び声をあげていた私は
そこでようやく夢から覚めた。
父と母が運転席と助手席から顔を出して
私を訝しげに見つめる。
私の額を、何故か冷や汗が伝った。
「大丈夫?」
「う…うん、」
――何でだろう。
別に、怖い夢でも嫌な夢でもなかった。
ただ正体不明の人型に出会っただけ。
でも、何だか悪寒が走って仕方がない。
(……正夢…とか?)
――実は私は霊感がとてつもなく強い。
見るからに鈍感な両親からは
想像もつかない力が、
生まれつき私には宿っていた。
見えないモノが見えたり。
あり得ないことを予知したり。
幼いころから”この世のものではないモノ”を
目の当たりにしてきた私は
幽霊や妖怪と言った類のものは絶対に無理。
完全に拒否。体が受け付けない。
しかし、私の見る夢といえば
結構な確率で正夢なんてこともありえて
だからなのか、先ほどの夢にも恐怖を抱いた。
――あんな嫌味っぽい悪魔、
絶対会いたくない。
