でもそれも本当に一瞬。 ハッと気がつけば、私の目の前で おーい?と、ひらひら手を振る喜代。 「どーしたの?」 「え…っ、何にもないよー」 そっか、と言って笑う喜代は あどけなくて、子供っぽい。 人間の雰囲気は感じられないけれど 妖怪だなんて、どう見ても思えなかった。 だからか、私はきっと油断してたんだ。 喜代は―――龍の化身なのに。