これだけの部屋があって、 汚いけれど、どこか過去の気品を感じるのに。 確かに妖怪の気配も、人の気配もしないけれど。 ――本当は寂しかったのかな? なんて思って、自嘲が漏れた。 「まさかねー…」 彼は――悪魔だから。 人間の感情とは、多分違う。 「……よし!玄関ホールの掃除から始めるかなっ」 一人でそう呟いて、勢いよくベッドから起きあがる。 ほうきと雑巾を握りしめて、 私は部屋の外へ飛び出した―――…