「…部屋は気に入ったか?」
でも、その振り返りざまの小さな笑みに
やっぱり私は弱い…と思う。
だって本当にカッコイイんだもん!
「…ん。まぁ、ね。ありがとう。」
そこで暫くの沈黙。
部屋をぐるぐると見回すだけの凜は
一体何をしにきたのだろう?
早く掃除しちゃいたいんだけどなぁ。
このほうきで追い出してやろうかと思った時
ふと、一つの考えが巡った。
「……そういえばさ、」
「ん?」
「ここって今、どんな妖怪がいるの?」
さっきの声は、二回とも同じ声だった。
両方――男の子っぽい声だったけど。
実はゾンビとかだったらどうしよう!
関わらない――…とは思っても、
やっぱり気になるものは気になる。
同じ屋敷にいると思ったら、気分が違う。
軽く目を見開いた凛は、ん…と言葉を濁らせた。
「川の龍神と…狼男。二匹だけだ。」
「に…っ?!」
「いつも大抵こいつらだけだ。」
(少な……っ)
思わず凜から目を背け
軽く笑いをこらえる。
いつも二匹だけって……そりゃ生活にも困るよ。
「失礼だな。」
「また心読んだ!!」
