彼の黒のスーツの後ろに見える、物体。 (羽根ーーーッ!!!) それは、夢で見た漆黒の悪魔の羽根だった。 「いーーーやーーーーっ!!!」 勢いに任せてこれ以上ないほどの絶叫が 暗くて静かな屋敷に響き渡った。 「ちっ……やかましい女だ。」 その一瞬の刹那、 叫んだ瞬間に彼はそう呟いて、 私は口元を押さえられる。 そして急に視界が歪んで、 気が付けばあの中央階段の隅に私たちはいた。 (え――…?!今…っ)