凜の顔が、微かに赤くなっている。
それを見て、思わず微笑んでしまった。
…ちょっとだけ、可愛いところもあるんだ。
「ふふっ…ありがとう。」
「…黙れ。」
照れたようにそっぽを向いて、
黒髪を弄る。
何かあったら俺が守るって、凜が言ってくれたのを思い出す。
あの時、少しだけ嬉しかった。
巻き込まれたことは迷惑だけど。
でも、今はここが私の居場所だから。
「…客寄せ、嫌ではないのか?」
伏し目がちの長いまつげに隠れた目は
私の方を見ようとしない。
そんな凜に向き合ったまま、即答する。
「嫌だよ。」
怖いじゃん。
いくら貞子や喜代や楼に害がないって言っても
凜の言うとおり、
これから危険な目に遭うかもしれない。
私はただ、この家の管理人っていうだけだ。
「でも、」
「今は、それが私の役目だし。」
微かに、凜の目が大きく開いた。
