ギュッと私の手を掴んだまま
話そうとしない彼の手から
少しだけ――焦りが伝わった。
「り、ん…?」
「今回はたまたまだ…
これからどんな奴が来るか分からない。」
「でもお客さんじゃない。」
グッ、と微かに力が込められる。
思わず痛いと呟けば、凜はハッとしたように手を即座に離した。
「…悪い。」
「ううん…。」
何で、そんな顔をしているんだろう。
あんなに望んでいた客でしょう?
私には、嬉しそうに見えたのに。
少し俯いた凜の目が、私の方を向いた。
「お前は非力だ。」
「なっ…!」
「巻き込んだのは俺だが……」
その視線が外され、眉間に皺が寄ったまま凜は
バツの悪そうな顔をしていて。
何となく、分かった気がする。
「……心配、してくれた?」
「っ!!」
